無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される

それだけじゃない。今日はここ最近で一番身体が軽く、体調がいいのがわかる。

ここ数日、帝都から戻ってきて鬼狩りに出ていないせいだろうか。瘴気を浴びないことが功を奏したのだろうか。それとも何か別の──。

俺ははっとすると、まだ睫毛をゆらしていている彼女を見つめた。

「……まさか、真白……?」

帝都から戻ってきて数日、俺がしたことと言えば真白と共に過ごしたことだけ。真白の作った食事を食べ、縫ってくれた着物を着て、夜は一緒に手を繋いで眠った。

(まさか……そんなこと……)

昨晩、真白が言っていた“桜天女”の”天授の力“のことが脳裏に浮かぶ。

「……ん……、千隼様?」

真白が目を覚ますと、瞼をこすりながら寝ぼけまなこで起き上がる、

「真白っ、見てくれ!」

「きゃあ……っ」

真白は顔を両手で覆うと、耳まで真っ赤にしてふるふると首を振っている。

「真白?」