無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される

※※

「うまい……」

俺は思わずそう声を漏らしていた。

「お口にあって何よりです……」

目の前のお膳には炊き立ての白米にかぶのみそ汁、ほうれん草のおひたしに、カボチャの煮物、サバの味噌煮が並べられている。

「真白が作ったのか、大変だっただろう」

「いえ、いつも作っているので苦ではありませんし、作るのは好きなんです」

その言葉に引っ掛かりを覚える。この屋敷には自分の鬼紋を隠すため、最低限の下女しか雇っていないが帝都に向かう際、真白の食事や掃除といった身の回りのことはするよう指示を出していたからだ。

「いつも? 下女は何をしているんだ?」

「あ……その、私が作りたいと言ったんです。時間がありますし、何か役に立ちたくて……その……だから下女たちは悪くありません」

昨日の真白の言葉を思い出す。自分を“無能モノ”だと言い、涙をこぼした彼女。俺が鬼狩りで不在にしている間、下女たちから妻と扱われず虐げられる生活をしていたのではないか、すぐにそう思った。