「蒼真」
「はい!」
「位置を」
「正面、距離三歩!左から来ます!」
蒼真の声を頼りに、私は静かに足を踏み出す。
空気が重く、息を吸うたびに胸の奥がざらつくような感覚が残るが、それでもまだ“視えていない”この状況では、人形越しの曖昧な視界と蒼真の指示だけが頼りだった。
私はあの少年との間に割り込むと、懐から札を一枚取り出して地へと放ち、小さく呟く。
「――展開」
札が淡く光り、薄い膜のような結界が瞬時に広がった直後、“それ”の腕が叩きつけられ、鈍い衝撃とともに結界に大きな亀裂が走った。
それでも、内側にいる少年への直撃だけは防ぎきる。
「……今のうちに、逃げて」
振り返らずにそう告げると、一瞬だけ迷うような気配があったものの、やがて足音が遠ざかっていった。
“それ”が警戒するように殺気をビリビリと放ちながら低く唸る。
『邪魔をするな』
その言葉にも、私は何も返さず、ただ静かに立ち続ける。
「はい!」
「位置を」
「正面、距離三歩!左から来ます!」
蒼真の声を頼りに、私は静かに足を踏み出す。
空気が重く、息を吸うたびに胸の奥がざらつくような感覚が残るが、それでもまだ“視えていない”この状況では、人形越しの曖昧な視界と蒼真の指示だけが頼りだった。
私はあの少年との間に割り込むと、懐から札を一枚取り出して地へと放ち、小さく呟く。
「――展開」
札が淡く光り、薄い膜のような結界が瞬時に広がった直後、“それ”の腕が叩きつけられ、鈍い衝撃とともに結界に大きな亀裂が走った。
それでも、内側にいる少年への直撃だけは防ぎきる。
「……今のうちに、逃げて」
振り返らずにそう告げると、一瞬だけ迷うような気配があったものの、やがて足音が遠ざかっていった。
“それ”が警戒するように殺気をビリビリと放ちながら低く唸る。
『邪魔をするな』
その言葉にも、私は何も返さず、ただ静かに立ち続ける。



