人形姫と秘密のお役目

「“アレ”は、やはり私自身の目で確認しなければなりません」


 父は深く息をついた。


「……そうか」


 短い言葉の中に、いくつもの感情が混じっているようだった。



「気をつけろ」


 静かな声。


「桜丘学園には、何かがいる」

「……承知しました」


 私は立ち上がる。

 廊下へ出ると、ひんやりとした空気が頬を撫でた。
 長い板の間を、一歩ずつ進んでいく。

 人形のリボンと垂れた耳が、微かな風に揺れる。

 外から見れば、私は目を瞑ったまま歩く少女にしか見えないだろう。


 ──桜丘学園。


 あそこには、いったい何があるというのだろうか。