人形姫と秘密のお役目

(みお)、数日後に桜丘学園に行きなさい」


 父の声が、静かな部屋に落ちた。

 私は顔を上げる。
 父は畳に座ったまま、じっとこちらを見ていた。


「……学園で、変な“気”を感じるんだ」


 ぽつりとした言葉。
 それは誰かに説明するためというより、確認するための響きだった。


「命がけになるかもしれないが……転校して視て、調査してきてほしい」


 私は小さく頷いた。

 父は少しだけ視線を落としたあと、再び口を開く。


「……人形を通せば、目は大丈夫なんだな」


 確認するような声音。


「はい。人形を通せば、直接視ることにはなりません」


 父はわずかに眉をひそめた。


「だが、まだ完全ではないのだろう」

「……はい」

「最近ようやく、使えるようになったばかりです」

「人形越しでは、見えないものもあるか」

「あります」


少しだけ間を置いて、私は続けた。