人形姫と秘密のお役目 -1-

 口々に上がる声を受けながら、私は開いたままの目でその場を見渡す。

 誰がどこにいるのかも、はっきりと見えている


「……どういたしまして」


 そう答えたところで、ふと視界が歪む。

 体の奥が、少しだけ重い。

 足元が、わずかに揺れる。

 でも、それだけだった。


(気のせいかな……?)


 そう思った、そのとき。

 足元に違和感が走り、ひやりとした感触が這い上がってくる。


「……あ」


 思わず視線を落とすと、黒い手が私の足を掴んでいた。

 ぎち、と音を立てるように指が食い込み、逃げ場はないとでも言うように絡みついてくる。

 触れられた場所から、じわじわと体温が奪われていく。


「……っ」


 息が詰まり、肺がうまく動かない。

 そのまま力が抜けていき、膝が崩れてその場に落ちた。

 意識がかすかに遠ざかっていく。


(だめ、重傷者を手当てしなきゃ……)


 そう思った、そのときだった。