「ていうか何で自分の部屋じゃなくて寝室で寝てるんだろう。変なの」
少し遅れて寝室に入ってきた律が呟いた。
「それはな、」
「え!?あ、理玖くんか。起きてたんだね」
「まぁな。それで寝室の件だが、俺が頼んだ。」
「え?何で?」
「お前らの変化に少しでも早く気付けるように、だ」
「え?そうなの?」
「ああ、だから寝てる間くらい安心してゆっくり寝ろ。」
「そっか、ありがとう」
「いや、別に俺がそうしたかっただけだ」
「ふふ、おやすみ」
「ああ、おやすみ」
少したつと恐らく律のであろう規則正しい寝息が聞こえてきた。安心して寝れているからだろうか。律は溜め込む癖がある。少しくらい人に頼ってほしいものだ。
去年のこと。俺たちが2年生だったころ、律が溜め込みすぎて倒れた。夜も遅くまで残って、俺たちの次の日の仕事を減らしたり、昇降口を掃除したりしていたからだ。律は人のためなら自分を犠牲にできてしまう。そんな律のことを誇りにも思うが、自分を大切にしてほしいとも思う。もちろん自分を大切にしてほしいという気持ちの方が大きい。寝ている間も、きっと人のためを思って何かをしようと考えているんだろう。だからこそ寝ている間だけでも自分を大切に、自分を第一にしてゆっくりと休んでほしい。そんな思いから自室で寝るのではなく全員で寝たい、と頼んだ。
その日の夜中。律が咳き込んでいた。溜め込んでいたときの夜もしていたような咳。またストレスを溜めていないといいのだが。

