クールな年下男子と、甘い恋を。

「とにかく怪我の手当てをしないとね。深森さん、保健室に連れて行ってあげてくれる?」
「はい。行こう、漣里くん」
 私が促そうとした、そのとき。

「なんだ、なんの騒ぎだこれは!?」
 生徒の群れをかき分けて、二人の男性教師が現れた。
 強面の男子の体育担当の松枝先生と、化学担当の道長先生だ。

 さすがにまずいと思ったらしく、ざわめいていた生徒たちが静かになる。

 一目で暴行を受けたとわかる漣里くんと、地面に転がっている野田と上杉、そして葵先輩を順番に見た後、先生たちは眉をひそめた。

「これは一体どういうことだ?」
 威圧感たっぷりの、松枝先生の詰問に応じたのは葵先輩だった。
「ご覧の通り、弟がこの二人から暴行を受けていたので、僕がやりました。全て僕の責任です。どのような処分でも受けます」
 葵先輩は真摯に答え、頭を下げた。

「止めろ、兄貴がそんなこと――」
「先生、成瀬先輩が助けてくれなかったら、成瀬くんはもっと酷い暴行を受けてました!」
 漣里くんの言葉を打ち消す声量で以て、私は松枝先生に訴えた。
 葵先輩が頭を下げる必要なんてない。

 弟を守っただけなのに、処分を受けるなんて間違ってる!