「……もう私たちは駄目かもしれないな」
唐突にそんなことをアルベルトは言い出した。
「えっ? 何故ですか?」
今、思いが通じ合ったばかりなのにっ、と思うマレーヌにアルベルトは言う。
「先ほどお前は私の冷たい目線や突き放したような口調が好きだと言っておったが。
愛を自覚した今、愛しいお前を見下すような目で見たり、なじったりする気にはなれないのだ」
愛想を尽かされてしまうやもしれぬ、と心配するアルベルトだったが、振り返った彼の視線は、充分、氷のようだった。
マレーヌはつい、笑ってしまい、
「なにがおかしい」
とさらに睨まれる。
「いえなんでも……あの、私、きっと宰相様が一生大好きです」
そのとき、マレーヌは信じられないものを見た。
アルベルトがちょっとだけ口の端を上げたのだ。
微妙な変化ではあったが、笑ったように見えた。
感激してマレーヌは叫ぶ。
「笑った顔も大好きですっ。
宰相様ならなんでも好きですっ」
「やめぬか、この痴れ者がっ。
お前のその深い愛の言葉を聞いた男が、そのように自分も愛されてみたいと願い。
お前をさらおうと画策するやもしれんっ。
マレーヌよ。
それ以上、可愛らしいことを言ったり、花のように笑ったりすると、一生監禁するぞっ」
そんな二人のやりとりを聞いていたマテオは、馬車の横を並走しながら、ふうー、と深い溜息をつく。
莫迦莫迦しいうえに、熱すぎたからだ。
唐突にそんなことをアルベルトは言い出した。
「えっ? 何故ですか?」
今、思いが通じ合ったばかりなのにっ、と思うマレーヌにアルベルトは言う。
「先ほどお前は私の冷たい目線や突き放したような口調が好きだと言っておったが。
愛を自覚した今、愛しいお前を見下すような目で見たり、なじったりする気にはなれないのだ」
愛想を尽かされてしまうやもしれぬ、と心配するアルベルトだったが、振り返った彼の視線は、充分、氷のようだった。
マレーヌはつい、笑ってしまい、
「なにがおかしい」
とさらに睨まれる。
「いえなんでも……あの、私、きっと宰相様が一生大好きです」
そのとき、マレーヌは信じられないものを見た。
アルベルトがちょっとだけ口の端を上げたのだ。
微妙な変化ではあったが、笑ったように見えた。
感激してマレーヌは叫ぶ。
「笑った顔も大好きですっ。
宰相様ならなんでも好きですっ」
「やめぬか、この痴れ者がっ。
お前のその深い愛の言葉を聞いた男が、そのように自分も愛されてみたいと願い。
お前をさらおうと画策するやもしれんっ。
マレーヌよ。
それ以上、可愛らしいことを言ったり、花のように笑ったりすると、一生監禁するぞっ」
そんな二人のやりとりを聞いていたマテオは、馬車の横を並走しながら、ふうー、と深い溜息をつく。
莫迦莫迦しいうえに、熱すぎたからだ。



