冷徹宰相様の嫁探し

「まあ、ともかく、王子の結婚が決まらねば、私は結婚できぬ」

 あくまでも王子の忠臣であろうとするアルベルトはそう言った。

「そうですねえ。
 あっ、お姉さまはどうですか?

 きっと良い妃となり、王子を支えてくれるのではないかと思うのですが」

「そうか。
 だが、お前の姉もお前と一緒で強情そうだ」

「ではまず、姉たちをどうにかしないとですね」
と笑うマレーヌたちは、すでに姉と王子の結婚話がまとまっていることを知らなかった。

 遠ざかる王宮を振り返り、マレーヌは思う。
 来るときには、こんな幸せが待っているなんて思わなかったな、と。

 ……いや、宰相様は相変わらず無表情なんだが。

 でも、この顔が好きかも、と横に座るアルベルトを見て微笑む。

 マレーヌと視線を合わせたアルベルトはいつものように渋い顔をした。

 なにか迷っているようだった。

 かなり迷って。

 そして、困って。

 それからそっと――

 マレーヌの手を握ってきた。

 なにか私に恨みでもあるのですか。

 地獄に突き落としたいという感じの顔で見てますけど、と苦笑いするマレーヌからアルベルトは視線をそらし、馬車の窓の方を向く。

 そのまま、こちらに顔を向けることはなかったが、ぎゅっと強くマレーヌの手を握ってきた。

 マレーヌは微笑み、そっとその手を握り返す。