さて、深く愛し合っていると王子たちに認定されたマレーヌたちだが。
案の定、愛が深いが故に、帰りの馬車で、早々に揉めていた。
「戴冠式のときのことは覚えている。
お前は私が見つめても、他の人間のように青ざめ、目をそらしたりしなかったから」
だが、お前の記憶は少し違う、とアルベルトは言った。
「お前と私が初めて会ったのは私の叔母上の婚儀のときだぞ」
「えっ? そうでしたっけ?」
「お前は、だあだあ言いながら、叔母上のベールをつかもうとして、乳母に慌てて連れて逃げられていただろう。
何故、私の方しか覚えておらぬのだ」
「……だあだあって。
それ、赤子じゃないですかね? 私」
覚えてないですよ、むしろ、よく覚えてましたね、とマレーヌが言うと、
「何を言う。
あんな天使のように可愛い赤子は他にいないと思って眺めておったのだ。
それからもお前を観察していた。
いつまでも幼な子のようなつるつるの肌をして愛らしい。
そんなお前の成長を見守らない者などこの世界にいるはずもないっ」
……ほ、誉め殺しでしょうか、とマレーヌは赤くなる。
いや、目線は相変わらず、罪人でも見るかのように厳しいんだが……。



