振られてしまったな。
というか、アルベルトめ。
自分が気に入っていたのなら、何故、私のところに連れてきた?
と王子はもっともな疑問を抱きながら、王立図書館に来ていた。
王宮の近くで一番静かそうだったからだ。
「あら、エヴァン、ごきげんよう」
そう話しかけてきたのは、シルヴァーナだった。
好みのタイプではないが、相変わらず、美しい。
知的で品の良い目で笑い、シルヴァーナは言う。
「もう学生ではないのだから、人前で名前で呼ぶべきではなかったわね」
「いやいや、いいのだ。
お前たちにまで畏まられたら、息を抜くところがなくなるからな」
「シルヴァーナ様、これ、二階に持って上がりますね~」
若い娘がシルヴァーナに声をかける。
シンプルなドレスなので最初はわからなかったが、ルーベント公爵が連れてきた娘、レティシアだった。
さまざまな娘を連れて、大貴族たちが現れるが。
この娘は、ちょっと困り顔で現れたマレーヌの次に嫌そうに挨拶してきたので印象深かった。
レティシアは、こちらに向かい、ぺこりと頭を下げて行ってしまう。
その後ろ姿は別人のように生き生きしていた。
「いいな、好きなことがやれて」
ちょっぴりそんな感傷的なことを言ってしまったが、シルヴァーナにはあっさり、
「あら、王子がお好きなのは、国民の笑顔を見ることでしたでしょう?
充分お好きなことをやれる立場にあると思いますが」
と言われてしまう。
そのとき、館長が現れた。
こちらに向かい挨拶したあとで、シルヴァーナに言う。



