冷徹宰相様の嫁探し

「わたくし、この度の結婚話のせいで、王宮に頻繁に出入りするようになってから、宰……

 王宮の女性はくまなくチェックしております」

 今、宰相様の周りをウロつく女はすべてチェックしておりますっ、という心の声が聞こえた気がしたが……。

 王子は、自分の部下にも見つけられなかった女スパイと、どこからともなく現れたマテオを見ながら、溜息をつき、呟いた。

「ほんとうに、ここの警備はどうなっているのだ……」

 そんな自分の前で、アルベルトがマレーヌに言う。

「落ち着け、マレーヌ。
 女スパイを王子にどうぞ、と差し出せるか」

 そんな厄介なもの、王子が寵愛しはじめたら、どうしてくれる、と文句を言ったあと、宰相はもっともな疑問をマレーヌに投げかけた。

「というか、お前、今回の件がなかったら、スパイのことを報告しないつもりだったのか」

「王宮にスパイなどたくさんおります。
 泳がせていらっしゃるのだろうと思ってましたが」

「……泳がせてはいない」
と更に頭を抱える。

「宰相、城の警備を一から見直せ」

 はっ、と言いはしたが、宰相の気持ちはよそを向いているようだった。

「それで、王子。
 マレーヌは王子の好みですか?
 好みではないのですか?」

 スパイも警備もさておき、アルベルトは淡々と、だが、言葉に力を込めて訊いてくる。