マレーヌが帰ったあとも、執務室で仕事をつづけていた王子はいきなりすごい勢いで現れたアルベルトとマレーヌに詰め寄られた。
「王子、ちょっといいですか」
「ちょっといいですかって。
もう入ってきてるじゃないか、お前たち」
ここの警備はどうなってるんだろうな……と王子は呟く。
アルベルトは王子のデスクに手を置き、身を乗り出すようにして言ってくる。
「王子よ。
私は、このマレーヌがこの国で、いや、この王宮で一番愛らしい娘だと思い、王子にお薦めしたのですが」
いきなり、なに告白しはじめた……? と思う王子をアルベルトが詰問してくる。
「王子としてはどうですか?
マレーヌは好みですか?
そうではないのですか?」
今、ここで答えろというのか。
私にも告白しろというのか。
王家の人間にはプライバシーとか存在しないのか。
まだマレーヌへの想いは、恋になりそうだな、くらいのふわふわしたものなのに。
今すぐ、ここで覚悟を決め、照れたり迷ったりする間もなく、告白しろというのかっ。
そんなことを思いわずらい、答えないでいる自分を見て、アルベルトは勝ち誇ったようにマレーヌに言う。
「ほらみろ、王子はお前のことを好きではないと言わないではないか。
やはり、誰が見ても、お前は魅力的で可愛らしく、好きにならずにいられない娘なのだ」
やめるんだ、アルベルト。
聞いているこっちが恥ずかしい、と王子は頭を抱えていたが。
言っているアルベルトの方はまったく恥ずかしそうでない。
その口調には感情は感じられず。
ただ、冷静に分析した結果を述べている。そんな感じだった。



