冷徹宰相様の嫁探し

 でも、いつか王子と結婚してよかったと思う日が来るかもしれない。

 マレーヌの頭の中で、王子は人が良さそうな顔のまま年老いて。

 王を退いた王子とガゼボで春の匂いを嗅ぎながら、孫の姿を眺め、微笑み合う……

 まで妄想がいったとき、アルベルトが言った。

「マレーヌよ。
 お前は私が見た中で、もっとも美しく、やさしく、愛らしい。

 いつも明るく。
 お前といると、人生が豊かになりそうだ。

 お前と結婚する男は、この世で一番幸せな男に違いない。
 そう思い、いつも見ていた」

 いやあの、いつも蔑むように見られていた気がするのですが……。

 この人、ただ単に、じっと見るとき、ああいう目つきになるのだろうか。

「お前はこの国で、いや、きっと、この世界で一番素晴らしい娘だ」

 いやいやいやっ。
 なにいつもの値踏みするような目のまま、歯の浮くようなことをおっしゃっているのですかっ、
と思ったが、アルベルトは本気のようだった。

「わ、私より素晴らしい方は他に山のようにいらっしゃると思いますがっ」

「なにを言う。
 お前はこの世でもっとも美しく、面白い」

 いや、面白い、いりますかね?

「ほんとうにお前は変わった娘だ。
 見ていて飽きることがない」

 それ、年頃の娘に言うには、あまり褒め言葉ではないかと。