「失敗しました。
儚げなところを見せるべきでした」
翌日、マレーヌは王子の執務室で仕事を手伝いながら、愚痴っていた。
「だが、宰相が儚げな女性が好きとは限らないじゃないか」
あれは、そういう女は鬱陶しいとか思ってそうだよ、と何故か王子に慰められる。
身を乗り出し、
「王子、良い方ですわね」
とマレーヌは言ったが、王子は何故か赤くなって身を引いたあとで、
「……良い方だとか言いながら、私とは結婚しないんだろう?」
とまた言ってくる。
「だって、王子にはたくさん妃を希望される方がいるではないですか」
「野心満々の者ばかりだけどね」
と王子は溜息をつく。
「それは私も私の心が宰相様になければ、王子をお支えしたいところなのですけど」
とマレーヌも溜息をつく。
「マレーヌ。
君はそもそも、いつ、どんな風に宰相に恋したの?」
「は?」
「……いや、今後の参考にと思って」
と言う王子の声は小さい。
なんの参考だ、と思いながらも、マレーヌは言った。



