廊下に出たあとで、アルベルトは、もうちょっとやさしい言葉をかけてやるべきだったかな、と思った。
なんだかんだで、自分の都合でマレーヌを振り回している。
ちょっと慰めてこようとアルベルトは見送りに出た下の兄とともに、もう一度、部屋に戻ろうとした。
「マレ……」
扉を開けかけたところで、マレーヌが脅迫状をパリッと引き裂いた。
「もう~っ。
役に立たない脅迫状なんだから~っ」
振り向いたマレーヌと目が合う。
マレーヌは自分を見て、兄たちを見て、また自分を見た。
祈るように手を合わせ、怯えてみせる。
「き、脅迫状とかっ。
恐ろしいですわっ、宰相様っ」
「……いや、お前、今、裂いたうえに足で踏んでおるが」
とアルベルトはマレーヌの足元を見た。



