冷徹宰相様の嫁探し

「あの、宰相様」
と父がちょっとビクつきながらアルベルトに問う。

「そういえば、我が家にはシルヴァーナもおりますが」

 マレーヌの姉、シルヴァーナこそ、王子と同じ学年、同じクラスの学友。

 何故、シルヴァーナではなく、マレーヌに話が来たのか、確かにちょっと不思議だった。

 シルヴァーナは色気もなく、男性が好みそうな豊満な身体つきでもなく。

 本の虫で、学園を卒業したあとは、王立図書館に勤めている。

 だが、色気の欠片もないのは、マレーヌも同じだし。
 シルヴァーナもマレーヌに負けず劣らずの美貌の持ち主だ。

 太陽のような金の髪に、明るい笑顔のマレーヌ。
 月のような銀の髪に、落ち着いた美しさのシルヴァーナ。

 王子と親しく、話が合う、という点に置いては、シルヴァーナの方が上だと思うのだが。

 だが、アルベルトは何故か、
「いや、王子の妃はマレーヌ嬢で」
と主張する。

「シルヴァーナもいい子なんですが」
 行き遅れそうな娘を父は王子に押し付けようとしていた。

「いや、マレーヌ嬢で」
「シルヴァーナもああ見えて……」

「マレーヌ嬢で」

 いや、なんでそんなに私推しなのですか、とマレーヌは困ったように冷たい瞳の宰相様を見た。