王子への直談判とそれを理由にアルベルトの顔を見に王宮に行くのが日課となっていたある日。
マレーヌは宮殿の廊下で、王様と出会ってしまった。
アルベルトとともに脇に控えようとしたが、王様は気さくに微笑みかけてくれた。
「ほう。
お前が宰相が強力に推しているユイブルグ公爵家のマレーヌか。
美しくなったな」
「お久しぶりでございます、陛下」
とマレーヌは優雅にお辞儀をする。
一応、公爵令嬢なので、美しいお辞儀の仕方はしつけられていのだが。
王宮に出入りするようになってから、更に厳しくアルベルトにしつけられたので。
自分でもなかなかないいと思えるお辞儀ができた。
流れるように優雅にお辞儀をするマレーヌに、ほう、と王様は感心する。
「いやしかし、アルベルトがあんなに推してくるとは。
お前もお前の一家も、よほど野心がないのであろうな」
と王様は笑った。
そうですね。
野心がないことにかけては、右に出るものはいないかと思いますね。
役に立つかは謎ですが……。
だが、変に力を持っていたり、他国と密接に交易をしていたり、などという家では、一時的には役に立っても。
王をおのれの傀儡にしようとしたり、いろいろ立ち回るのでかえって厄介なのだろう、とマレーヌは思っていた。
「ルーベント公爵などに力を持たれては困る者もたくさんおるからのう」
今でも、頻繁に口を出してきて、私も困っておる、と案の定、渋い顔で王様は言う。



