冷徹宰相様の嫁探し

「ユリア嬢のことなら心配されるな。
 ちょうど隣国の王が活きの良い第三妃を探していたのだ。

 推挙しても良いと申したら、すぐに話に乗ってきたぞ。
 隣国は我が国より裕福であるからな。

 第三妃でも、ここの正妃となるより、良い暮らしができるであろう。

 我が国としても隣国とつながりができるのは好ましい。

 まあ……あちらで問題を起こし、友好関係にヒビが入りそうならば、静かに消えてもらうが」

 どのように消えてもらうのですかっ、と王国の片隅で静かに暮らしてきた親子は震え上がる。

「それに、ユリア殿では家の格は釣り合っても。
 王子と話が合わなかったらしい。

 その点、マレーヌ殿は王立学校でも、幼少の学年から、王子と同じ最上級のクラスにおられるから。
 話も合うに違いないと思ったのだ」

 いや~、話、合いますかね~?
 確かに王子とは同じ学校、同じ最上級クラスの校舎にいましたが。

 王子はいつも取り巻きに囲まれていたので、
「これ、落としましたよ」
「ありがとう」
 ……くらいしか会話したことないのですが。

 しかも、
「これ落としましたよ」
と言った方が王子という気の利かないっぷりだったのに。

 振り向いて、王子と気づき、
「すみませんっ」
と謝ると、

「いやー、いいよいいよー」
と王子は、ほんわり笑っていたっけな。

 宰相アルベルトの話を聞きながら、マレーヌの家族はみな思っていた。

 あのほわっとした王子とこのぼんやりした娘。
 この国、確実に、この宰相に牛耳られるっ、と。