ともかく、マレーヌは今度は兄たちに口をきいてもらい、また王子に会いに行ってみた。
破談にしてもらえるよう、直談判しようと思ったのだ。
「マレーヌ。
君が日参するから、結婚にノリノリだと思われているようだよ」
君自身は乗り気ではないようだけど、と王子は苦笑いする。
すみませんとマレーヌは謝ったが。
引く手あまたな王子様だ。
別に私ごときに断られたところで、痛くもかゆくもあるまいと思っていた。
そもそもこの縁談は、宰相様が進めているもので、王子が望んでのものではないことだし。
……宰相様め。
なんで私に目をつけやがったのでしょうね、とマレーヌは思っていた。
「それにしても、何故、そんなに私との結婚を嫌がるんだい?
王宮にいれば、ほら、君の好きな異国の菓子も食べ放題なのに」
テーブルの上は、王子の妃候補の公爵令嬢が来ているというので、見たこともないような菓子が山積みになっていた。
確かにこれはこれで魅力的なのだが……とむせかえるような甘い香りを嗅ぎながら、マレーヌは思う。
「私は贅沢はあまり好きではないが。
ある程度なら、王宮の中のことも好きにして構わないし。
君が妃になってくれれば、早く相手をとか、うるさく言われなくなって、私も助かる。
それに、君が王妃になれば、君の家も安泰だと思うんだけど」
そんなに私が嫌いなの? と問われ、
「そうではありません」
とマレーヌは答えた。



