冷徹宰相様の嫁探し

 アルベルトは、ルーベント公爵の話に適当に相槌を打ちながら、なにをやってるんだ、という目で、こちらを見ている。

「エヴァン王子はやさしく知性にあふれています。
 いずれ、立派な王となられるお方です。

 レティシア様が妃となって、王子を支えてあげてください」

 マレーヌがそう言うと、レティシアは警戒したような顔でこちらを見てきた。

「なによ。
 王子になにがあるの?」

「は?」

「そんないい物件。
 人に喜んであげようなんて人、いるわけないじゃないの」
とレティシアは言い出す。

「あなた、王立学校で王子と親しかったんでしょ?
 王子にはなにか人に言えないようなことでもあるんじゃないの?」

「親しかったのは、私ではなく、姉ですが。
 王子の評判は、すこぶるよかったですよ」

 じゃあ、なぜ? と問われ、マレーヌはチラ、とアルベルトの方を見る。

「私には……その、他に好きな方が」

 そんなマレーヌを、

 だから、なにをやっている。
 他の妃候補と馴れ合うなっ、
という目でアルベルトが冷ややかに見ていた。

 ああっ、その極寒の大地に吹き荒ぶ凍てつく風みたいな視線っ。
 たまりませんっ。

 私を罵ってくださいっ、
と思うマレーヌの表情と視線を追ったレティシアは、

「えっ?
 あなたあの宰相様がいいの?

 確かに見た目も財力も地位も申し分ないけど。

 荒んだ結婚生活になりそうじゃない?
 あなた、変わった趣味ね……」
と呆れたように言っていた。