冷徹宰相様の嫁探し

「そうね。
 とりあえず、これからは王子と面会させてもらえる機会も増えるようだから。

 あなたのいいことはひとつも言わずに、悪いことばかり報告してみようかしら」

 ふふふふ、と妖しくレティシアは笑ってみせる。

 いいことはひとつも言わずに、悪いことか……と思ったマレーヌは、
「あの~」
と身を乗り出し、レティシアに訊いてみた。

「私のいいところって、何処でしょう?」

 いまいち自分に自信が持てない人間だからだ。

「えっ? 何処って。

 ……え~と、何処……?」
とレティシアもすぐには出なかったらしく、口の中で呟いている。

「えーと。
 そうね……ああ、えっと。

 ほら、さっきも言ったけど。
 あなた、可愛いじゃない」

「そうですか?」

「スタイルもいいし」

「そうですかね~?」

「物おじしないその性格も、外交のこととか考えると王子妃向きだと思うし……」
と順調に褒めてくれはじめたところで、レティシアは、はっとしたように言ってきた。

「ちょっとっ。
 なんで私があんたを褒めなきゃいけないのよっ」

 あまりに自信なさげだったんで、全力で褒めちゃったじゃないっ、と言う。

 なんだかんだで、いい人だ。
 ぜひ、あの人の良い王子の妃になってください、とマレーヌはレティシアの手を握ったが、払われた。