冷徹宰相様の嫁探し

 うちは公爵家ではありますが、権力には特に興味もなく。

 ただ日々、平々凡々とすぎていけばいいと思っているだけの貧乏公爵家ですよっ、と一家でアルベルトを見つめていると、彼はついに本題に入った。

「ユイブルグ公爵。
 実はお前たちの娘、マレーヌを第一王子の妃に迎え入れようということになったのだ」

 ええっ? とみなが驚く。

「何故ですかっ?
 王子の妃には、もっと良家の娘がなるはずではっ?」

「資産的にはどうだか知らぬが、ユイブルグ家は公爵家であろう。
 なんの不足もない」

 はあ、そういえば、そうなんですが。
 ふだん、庶民的な生活をしているので、そのこと、忘れがちなんですよね~とマレーヌは思う。

「あの、でも、エヴァン王子には、ユリア様という許嫁がいらっしゃいますよね?」
 身を乗り出し、父がそう訊く。

「あれは浪費癖があり、王子のためにならぬと議会で判断したのだ。

 ユリア嬢は、本人も問題であったが。
 父親が権力欲が強くて困っていた。

 いろいろ王家の方針にも口を出してきて厄介だったのだ。

 みなで話し合った結果、王子の嫁も嫁の実家も、無害なのが一番、という結論に達したのだ」

 あー、確かに我が家は無害だということに関しては、国一番かもしれませんね~、とマレーヌは思う。

「マレーヌ殿は――」

 マレーヌの結婚話であるのに、アルベルトの視線はそこで初めてマレーヌを向いた。

「王立学校での成績もまあ良く。
 見てくれも正妃として恥ずかしくないくらい、まあ良く。

 性格は温厚。
 どこでも問題を起こしたことがない。

 なにもかも程々なので、ちょうど良いと議会で決まったのだ」

 この娘はなにもかも程々で良い、と議会で話し合われていたのか。

 それもどうだかな……とマレーヌは思っていたが、やり手のアルベルトは、ぐいぐいこの結婚話を進めようとする。