冷徹宰相様の嫁探し

「……豊かであるとは思いますが。
 王家の方々、全然、贅沢とかしてなさそうなんですけどね」

「それでも、私の今の暮らしよりはマシよ。
 私、男爵令嬢なのに、自分で火をおこして、パンを焼いたりしてるのよ?」

 自分のうちだけで使用人を雇うことができないので、数軒掛け持ちしている使用人を使っていて。
 いない日も多いのだという。

「でも、私も焼きますよ、パン」
と言ってみたが、

「それは趣味でしょ」
と睨まれる。

「ともかく、私はあなたが邪魔なのよ」

 殺されるっ、とマレーヌは身構えた。

「そんなに美しくて愛らしかったら、王子はあなたを好きになってしまうじゃない」

 えっ?
 ありがとうございますっ。

 そんなストレートな賛辞は初めていただきましたっ。

「頻繁に王子と会って、あなたの覚えがめでたくなってもらっては困るから」

 殺されるっ、とマレーヌはまた身構えた。

「王子の目のつかないところに追いやりたいわ」

 監禁されるっ、と怯えたとき、レティシアが言ってきた。

「いや……たぶん、あなたの頭の中ほど、ひどいことはしないから」
と。