「では失礼致します」
と挨拶して廊下に出た途端、マレーヌはアルベルトに、
「王子との顔合わせ、どうであったか?」
と問われた。
「可もなく不可もなく普通、という感じですかね」
王子がか、と言われ、
「いや、私、どんだけ無礼者ですか。
王子から見た私がですよ」
とマレーヌは言った。
「特に良くもなく、悪くもなく。
学校が同じな上に友人の妹だから、話が合わないこともないって感じですね」
「ほんとにお前はどこまでも冷静だな。
あの美しいエヴァン王子の妻となり、ゆくゆくは、この国の王妃となれるかもしれないのだぞ。
もっと喜んだりとかしないのか」
マレーヌは少し考えたあとで言った。
「違うことでなら、ちょっと喜んでますけどね」
アルベルトが、なにを喜んでおるのだ? という顔をする。
いや、あなたと間近に会う機会が増えたことですよ。
そうマレーヌは思っていた。
すると、向こうから派手に飾り立てた女と、つるっと頭髪の禿げた身なりのいい男がやってきた。



