冷徹宰相様の嫁探し

「そのガゼボで食べるであろう、お前がまだ食したことがない菓子も、東洋の変わったお茶もすべてお前のものだ」

 そうなんですかっ、とマレーヌは身を乗り出した。

 だんだん、攻め方がわかってきたらしいアルベルトは王子の居室へと向かいながら、
「そこの、国の内外から貴重な本を集めた図書室もお前のものだっ」
(うた)うように言う。

「そうなんですかっ」

 衛兵が番をしている王子の部屋の扉の前まで来たときアルベルトが言った。

「うむ、わかったぞ。
 お前にはこの上なく、庶民的なことか。

 普通の女を喜ばせるのには、それじゃないだろ、というようなことを言うのがいいのだな」

 なんだろう。
 激しく下げられているような……と思いながら、マレーヌはアルベルトに続いて王子の部屋に入る。

 エヴァン王子の部屋は趣味はいいが、王子の部屋というには簡素なものだった。

 すっきりとして使いやすそうな家具の配置。
 年代物で手入れのいい机など。

 王子の人柄を表しているな、とマレーヌは思った。

「エヴァン王子、ユイブルグ公爵家のマレーヌ嬢をお連れしました」
 ああ、と立ち上がり、王子が微笑む。

 さらさらの金の髪に白い肌。
 青い瞳でちょっと可愛らしい顔立ちのエヴァン王子は花のように笑って言った。

「シルヴァーナの妹君だね、久しぶり」

 王子は仕事の手を休め、一緒にお茶をしてくれた。

 後継ぎの第一王子なのに、相変わらず気さくな人だ、とマレーヌは思う。