なんだかんだで、マテオは追い払われてしまった。
宰相様と二人きりなのは嬉しいけど、緊張するな~。
王宮の回廊に立つマレーヌは白い繊細な細工のアーチ型の天井を見上げていた。
すると、アルベルトが言う。
「マレーヌよ。
王子と結婚すれば、この宮殿もいずれお前のものとなるのだぞ」
そう言われても、豪華すぎてピンと来ないな~、とマレーヌは思っていた。
そんなマレーヌの表情に気づいたように、アルベルトは攻め方を変えてくる。
「見ろ、マレーヌ。
お前の気に入っているあの庭園。
あれもすべてお前の物だ」
そう言いながら、アルベルトは外を見た。
「お前たちが立ち入れない薔薇のトンネルがあるだろう。
あれをくぐり抜けたところに、秘密の花園のような場所がある。
芳しい香りを放つ花々に囲まれ、心地よい風の吹き抜けるガゼボがあるのだが。
あれもまたお前の物となるのだぞ」
ここからもその誰もが目を奪われる薔薇のトンネルは見えるのだが。
マレーヌは気のない声で、はあ、と言っただけだった。
そんなこと言われても実感が湧かなかったからだ。



