次の日。
陽菜「湊〜!準備いい?」
湊「……何の」
陽菜「写真!」
手に持っているのは、小さなインスタントカメラ。
湊「どっから持ってきたんだよ」
陽菜「看護師さんにお願いしたら貸してくれた!」
満面の笑み。
陽菜「今日はね!」
ノートを開く。
『好きな人と写真を撮る』
湊「……それ、やっぱ俺なのか」
陽菜「うん!」
即答。
湊「……軽いな」
陽菜「いいじゃん!」
陽菜「“今の好き”は湊なんだもん」
ドクン
また心臓が鳴る。
湊(心の声)
「……今の、かよ」
少しだけ引っかかる。
でも――
それ以上は聞かなかった。
――屋上
風が少し強い。
でも空はきれいに晴れている。
陽菜「ここで撮ろ!」
湊「また屋上か」
陽菜「だって好きなんだもん、この景色」
フェンス越しに空を見上げる陽菜。
陽菜「ねぇ湊」
湊「ん?」
陽菜「もっと近く来て」
湊「……は?」
陽菜「写真なんだから当たり前でしょ!」
仕方なく、隣に立つ。
陽菜「もっと!」
湊「近いって」
陽菜「いいから!」
ぐいっと腕を引かれる。
距離が一気に近づく。
肩が触れる。
陽菜「はい、笑って!」
湊「無理」
陽菜「え〜!」
陽菜は少し考えて――
陽菜「じゃあこうする」
湊の手を取って、
ぎゅっと握る。
湊「……っ」
陽菜「これでどう?」
顔が近い。
手はつながったまま。
陽菜「……ほら」
カシャ
シャッター音が鳴る。
一瞬が、切り取られた。
そのあとも――
売店の前で一枚。
廊下で一枚。
ベッドの上で笑いながら一枚。
どれも、楽しそうな写真ばかり。
でも――
最後の一枚を撮る時、
陽菜が言った。
陽菜「最後はさ」
湊「?」
陽菜「ちゃんとしたの」
ベッドに座る陽菜。
その隣に、湊。
陽菜「ねぇ」
湊「なに」
陽菜「ちょっとだけ、こっち見て」
湊が視線を向ける。
陽菜は、少しだけ真剣な顔で
カメラを持ちながら言った。
陽菜「……これね」
湊「?」
陽菜「一番大事にするやつ」
湊「……なんで」
陽菜は、少しだけ笑って
でもどこか寂しそうに――
陽菜「だって」
一瞬、間が空く。
陽菜「忘れたくないから」
その言葉。
湊の胸が、強く締め付けられる。
湊(心の声)
「……やっぱり」
「気づいてる」
でも――
陽菜は何も聞かない。
ただ、今を残そうとしている。
カシャ
最後の一枚が、撮られた。
写真がゆっくり出てくる。
陽菜「わぁ…!」
そこには――
少し照れてる湊と、
優しく笑っている陽菜。
陽菜「いい写真」
湊「……ああ」
陽菜は、その写真を大事そうに胸に抱く。
陽菜「ねぇ湊」
湊「ん?」
陽菜「これさ」
陽菜「宝物にしていい?」
湊は少しだけ黙って――
湊「……好きにしろ」
陽菜「ふふ」
その笑顔は、
すごく嬉しそうで
すごく切なかった。
夜。
湊は一人、ベッドに座る。
ポケットの中には――
さっき陽菜がくれた写真。
『一枚あげる!』って笑ってた。
湊(心の声)
「……こんなの」
写真を見つめる。
「忘れるわけねぇだろ」
でも同時に――
「終わりが近い」
その現実が、重くのしかかる。
湊(心の声)
「……もう無理だ」
「好きすぎる」
でも――
言えない。
その想いは、
まだ胸の奥に閉じ込めたまま。
陽菜「湊〜!準備いい?」
湊「……何の」
陽菜「写真!」
手に持っているのは、小さなインスタントカメラ。
湊「どっから持ってきたんだよ」
陽菜「看護師さんにお願いしたら貸してくれた!」
満面の笑み。
陽菜「今日はね!」
ノートを開く。
『好きな人と写真を撮る』
湊「……それ、やっぱ俺なのか」
陽菜「うん!」
即答。
湊「……軽いな」
陽菜「いいじゃん!」
陽菜「“今の好き”は湊なんだもん」
ドクン
また心臓が鳴る。
湊(心の声)
「……今の、かよ」
少しだけ引っかかる。
でも――
それ以上は聞かなかった。
――屋上
風が少し強い。
でも空はきれいに晴れている。
陽菜「ここで撮ろ!」
湊「また屋上か」
陽菜「だって好きなんだもん、この景色」
フェンス越しに空を見上げる陽菜。
陽菜「ねぇ湊」
湊「ん?」
陽菜「もっと近く来て」
湊「……は?」
陽菜「写真なんだから当たり前でしょ!」
仕方なく、隣に立つ。
陽菜「もっと!」
湊「近いって」
陽菜「いいから!」
ぐいっと腕を引かれる。
距離が一気に近づく。
肩が触れる。
陽菜「はい、笑って!」
湊「無理」
陽菜「え〜!」
陽菜は少し考えて――
陽菜「じゃあこうする」
湊の手を取って、
ぎゅっと握る。
湊「……っ」
陽菜「これでどう?」
顔が近い。
手はつながったまま。
陽菜「……ほら」
カシャ
シャッター音が鳴る。
一瞬が、切り取られた。
そのあとも――
売店の前で一枚。
廊下で一枚。
ベッドの上で笑いながら一枚。
どれも、楽しそうな写真ばかり。
でも――
最後の一枚を撮る時、
陽菜が言った。
陽菜「最後はさ」
湊「?」
陽菜「ちゃんとしたの」
ベッドに座る陽菜。
その隣に、湊。
陽菜「ねぇ」
湊「なに」
陽菜「ちょっとだけ、こっち見て」
湊が視線を向ける。
陽菜は、少しだけ真剣な顔で
カメラを持ちながら言った。
陽菜「……これね」
湊「?」
陽菜「一番大事にするやつ」
湊「……なんで」
陽菜は、少しだけ笑って
でもどこか寂しそうに――
陽菜「だって」
一瞬、間が空く。
陽菜「忘れたくないから」
その言葉。
湊の胸が、強く締め付けられる。
湊(心の声)
「……やっぱり」
「気づいてる」
でも――
陽菜は何も聞かない。
ただ、今を残そうとしている。
カシャ
最後の一枚が、撮られた。
写真がゆっくり出てくる。
陽菜「わぁ…!」
そこには――
少し照れてる湊と、
優しく笑っている陽菜。
陽菜「いい写真」
湊「……ああ」
陽菜は、その写真を大事そうに胸に抱く。
陽菜「ねぇ湊」
湊「ん?」
陽菜「これさ」
陽菜「宝物にしていい?」
湊は少しだけ黙って――
湊「……好きにしろ」
陽菜「ふふ」
その笑顔は、
すごく嬉しそうで
すごく切なかった。
夜。
湊は一人、ベッドに座る。
ポケットの中には――
さっき陽菜がくれた写真。
『一枚あげる!』って笑ってた。
湊(心の声)
「……こんなの」
写真を見つめる。
「忘れるわけねぇだろ」
でも同時に――
「終わりが近い」
その現実が、重くのしかかる。
湊(心の声)
「……もう無理だ」
「好きすぎる」
でも――
言えない。
その想いは、
まだ胸の奥に閉じ込めたまま。


