夕方。
いつものように、湊は陽菜の病室にいた。
陽菜「ねぇ湊〜」
ベッドの上でごろんとしながら、陽菜が話しかける。
湊「なに」
陽菜「昨日のデート、楽しかったね」
湊「……まあな」
陽菜「“まあな”じゃないでしょ〜?」
クスクス笑う。
陽菜「湊ってさ、意外と優しいよね」
湊「意外ってなんだよ」
陽菜「最初怖かったもん」
湊「……悪かったな」
陽菜「ううん、今は好きだよ」
――ドクン
心臓が、大きく鳴る。
湊「……は?」
陽菜「あ、変な意味じゃなくてね?」
慌てて手を振る。
陽菜「“友達として”好きってこと!」
にこっと笑う。
湊「……ああ、そう」
少しだけ、ほっとして
少しだけ、がっかりした。
湊(心の声)
「……何期待してんだよ」
少し沈黙が流れる。
陽菜「ねぇ」
湊「ん?」
陽菜「湊って、好きな人いるの?」
湊「……いない」
即答だった。
陽菜「ほんとに〜?」
湊「なんで疑うんだよ」
陽菜「なんかいそうじゃん」
湊「いない」
少しだけ強く言う。
陽菜「そっかぁ〜」
ベッドの上で天井を見上げる。
陽菜「私はね」
湊「?」
陽菜「……欲しいなって思ってる」
湊「好きな人?」
陽菜「うん」
陽菜「だってさ」
少しだけ、声が小さくなる。
陽菜「“好きな人とやりたいこと”いっぱいあるもん」
昨日のノートを思い出す。
『手をつなぐ』
『一緒に帰る』
『デートする』
湊(心の声)
「……もう、やってるじゃん」
湊「じゃあ作ればいいだろ」
陽菜は少し黙って――
ふわっと笑った。
陽菜「簡単に言うね〜」
陽菜「でもさ」
湊「?」
陽菜「“好き”って、どうやってなるの?」
湊は答えに詰まる。
湊「……知らねえよ」
陽菜「え〜」
頬をふくらませる。
陽菜「ドキドキしたら?」
湊「……多分」
陽菜「ふーん…」
その時。
陽菜がじっと湊を見る。
湊「……なに」
陽菜「……ちょっとだけ、実験」
湊「は?」
陽菜はゆっくり、手を伸ばして――
湊の手に触れた。
湊「……っ」
陽菜「ねぇ」
そのまま、指を絡める。
陽菜「これでドキドキしたら、好きってこと?」
顔が近い。
距離が近すぎる。
湊「……っ、離せ」
陽菜「え〜なんで?」
湊「……いいから」
無理やりではないけど、少しだけ強く手を引く。
陽菜「……ドキドキした?」
湊は答えない。
でも――
湊(心の声)
「……してるに決まってるだろ」
陽菜は少しだけ不満そうにしながらも、
すぐに笑った。
陽菜「ま、いっか!」
陽菜「じゃあこれからも実験ね!」
湊「やめろ」
陽菜「え〜!」
笑い声が、部屋に広がる。
でもその裏で――
湊(心の声)
「……もう遅い」
「好きになってる」
「でも――」
「言えない」
“あと3ヶ月”という現実が、
胸を締め付ける。
陽菜「ねぇ湊」
湊「ん?」
陽菜「明日も一緒にいよ?」
湊は少しだけ目を伏せて――
湊「……ああ」
その約束が
どれだけ大切で
どれだけ苦しいものか
まだ、二人は知らない。
いつものように、湊は陽菜の病室にいた。
陽菜「ねぇ湊〜」
ベッドの上でごろんとしながら、陽菜が話しかける。
湊「なに」
陽菜「昨日のデート、楽しかったね」
湊「……まあな」
陽菜「“まあな”じゃないでしょ〜?」
クスクス笑う。
陽菜「湊ってさ、意外と優しいよね」
湊「意外ってなんだよ」
陽菜「最初怖かったもん」
湊「……悪かったな」
陽菜「ううん、今は好きだよ」
――ドクン
心臓が、大きく鳴る。
湊「……は?」
陽菜「あ、変な意味じゃなくてね?」
慌てて手を振る。
陽菜「“友達として”好きってこと!」
にこっと笑う。
湊「……ああ、そう」
少しだけ、ほっとして
少しだけ、がっかりした。
湊(心の声)
「……何期待してんだよ」
少し沈黙が流れる。
陽菜「ねぇ」
湊「ん?」
陽菜「湊って、好きな人いるの?」
湊「……いない」
即答だった。
陽菜「ほんとに〜?」
湊「なんで疑うんだよ」
陽菜「なんかいそうじゃん」
湊「いない」
少しだけ強く言う。
陽菜「そっかぁ〜」
ベッドの上で天井を見上げる。
陽菜「私はね」
湊「?」
陽菜「……欲しいなって思ってる」
湊「好きな人?」
陽菜「うん」
陽菜「だってさ」
少しだけ、声が小さくなる。
陽菜「“好きな人とやりたいこと”いっぱいあるもん」
昨日のノートを思い出す。
『手をつなぐ』
『一緒に帰る』
『デートする』
湊(心の声)
「……もう、やってるじゃん」
湊「じゃあ作ればいいだろ」
陽菜は少し黙って――
ふわっと笑った。
陽菜「簡単に言うね〜」
陽菜「でもさ」
湊「?」
陽菜「“好き”って、どうやってなるの?」
湊は答えに詰まる。
湊「……知らねえよ」
陽菜「え〜」
頬をふくらませる。
陽菜「ドキドキしたら?」
湊「……多分」
陽菜「ふーん…」
その時。
陽菜がじっと湊を見る。
湊「……なに」
陽菜「……ちょっとだけ、実験」
湊「は?」
陽菜はゆっくり、手を伸ばして――
湊の手に触れた。
湊「……っ」
陽菜「ねぇ」
そのまま、指を絡める。
陽菜「これでドキドキしたら、好きってこと?」
顔が近い。
距離が近すぎる。
湊「……っ、離せ」
陽菜「え〜なんで?」
湊「……いいから」
無理やりではないけど、少しだけ強く手を引く。
陽菜「……ドキドキした?」
湊は答えない。
でも――
湊(心の声)
「……してるに決まってるだろ」
陽菜は少しだけ不満そうにしながらも、
すぐに笑った。
陽菜「ま、いっか!」
陽菜「じゃあこれからも実験ね!」
湊「やめろ」
陽菜「え〜!」
笑い声が、部屋に広がる。
でもその裏で――
湊(心の声)
「……もう遅い」
「好きになってる」
「でも――」
「言えない」
“あと3ヶ月”という現実が、
胸を締め付ける。
陽菜「ねぇ湊」
湊「ん?」
陽菜「明日も一緒にいよ?」
湊は少しだけ目を伏せて――
湊「……ああ」
その約束が
どれだけ大切で
どれだけ苦しいものか
まだ、二人は知らない。


