姫様は好きが言えない〜オーク顔の呪いにかかっていますが好きな人がいます〜



 魔女の呪いが発現して以降、私は王宮奥深くの離れで育った。これは誰かに告白されてオーク顔になってしまうのを私や家族が恐れたからだ。
 離れを出入りできる人間は、忠誠心の高い人間に厳選された。

 最悪なことにジークハルト殿下は自国や近隣諸国で私の顔が如何にオーク顔の醜女であるかを言いふらしてしまった。
 その結果、私は醜い容姿を恥じて離れに閉じこもっていると世間一般では言われている。


「世の中には、呪いで猫やウサギ、リスといった可愛い動物に姿を変えて素敵な殿方に可愛がられる話が数多く存在するっていうのに。どうして私はオーク顔なの? こんなの可愛がられるどころか煙たがられるじゃない」

 ブサ猫でもいいから呪いの内容を変えて欲しい。
 ブサイクだろうと猫は猫。ブサ可愛いという言葉が表しているように、ブサイクだけど愛嬌があって可愛いから最終的に殿方から可愛がられる。

 けれど、私のような顔だけオーク顔の中途半端な人間にブサ可愛いは通用しない。何故なら可愛い要素がどこにもないのだ。

 ブサイクだけの私を好きになる殿方なんて、この世に存在するのだろうか。
 可能性は限りなくゼロに近い。


「姫様ったら、一体どこでそんな偏った知識を吸収したのですか」
 窓辺の席で嘆いていたら、侍女のマルティナが呆れた様子で話しかけてくる。
 私は手にしていた詩集をテーブルの上に置き、居住まいを正してハッキリと答えた。