あまりにも衝撃的な姿に、ジークハルト殿下は『なんて醜いオーク顔なんだ!』と叫んで気絶した。
姫は訳がわからず、手鏡で容姿を確認して悲鳴を上げた。
身体はいつもの自分なのに、どういうわけか顔だけがオークの醜い顔になっていたのだ。
貴賓室に運ばれたジークハルト殿下を見舞いたかったけれど、先触れを出したら向こうから拒絶の言葉が返ってきた。
ついでに、先ほどの求婚はなかったことにしてくれと言われる始末だ。ジークハルト殿下がその日のうちにカラリア王国へ逃げ帰ると、ようやく姫の顔は元に戻った。
どうしてあんな醜い顔へ変化してしまったのだろう。
心当たりもなく、ただひたすらベッドの上で啜り泣いていたら、お父様が高祖父様に原因があると教えてくれた。
高祖父様は王太子時代に、西の地で暴れ回っている魔女を成敗しに行った。
魔女は部類の筋肉好きで、高祖父様の鍛え上げられた立派なシックスパックに心臓を射抜かれ告白した。
もちろん、即答で断られる。
フラれた魔女は号泣し、腹いせとしてある魔法をかけた。
『私の失恋の痛みと苦しみを、おまえの子孫にも味合わせてやる。次に生まれてくる女子は、災難が降りかかるだろう』
魔女はそう叫んだ後、高祖父様に成敗された。
こうして魔女の魔法――もとい呪いにより、姫はオーク顔になる不憫な身体になってしまった。
呪いの発動条件は、恋愛感情を乗せて『好き』と言ったり、言われたりすること。
そして、告白した側から恋愛感情が消えれば、元の顔に戻るというものだった。
そんな哀れな姫の名はジゼル――私のことだ。



