姫様は好きが言えない〜オーク顔の呪いにかかっていますが好きな人がいます〜



「私は殿下とは考え方が違います。一緒にしないでください。それと、よくものこのことやって来られましたね。その神経の図太さには脱帽しますよ。ジークハルト殿下」

 イーサンは彼がヘンリクではなく、ジークハルトであるのを見抜いていた。
 何故なら、彼がジゼルのオーク顔を見たことがあるような物言いをしていたからだ。


「あなたは相当な外見至上主義のようですね。だから幼い頃のジゼル様の可憐なお姿に一目惚れをして勢いで求婚し、勢いで解消した」

 オーク顔になった途端、ジゼルを振ったのはジークハルトが面食いだったから。
 その証拠は先ほどの発言からも見て取れる。
 ジークハルトは肯定するように話を続けた。

「姫の呪いが解けていたら結婚しようと思って来たんだ。ヘンリクや父上には行くのを止められたけどね。まあ結局、期待外れだったよ。醜いオーク顔でなければ、好みの顔だから結婚してやったけど。あれのままでは私の目が腐ってしまう」

 ジークハルトはやれやれと肩を竦めてみせる。
(あなたの目は既に腐っていますよ)
 イーサンは心の中で言い返した。

 ジークハルトは知らない。たった六歳の少女が自分の過酷な運命を受け入れた上で、どう明るく生きるか模索していたなんて。

(もともと私が護衛騎士になったのは、国王陛下と王宮騎士団長に頼まれて断れなかったから)

 辺境の地にあるロシュ家は他の貴族とは違い、魔法使いの末裔だ。
 代替わりが進むにつれて魔力はなくなり、魔法は使えなくなってしまった。

 しかし、国王は自らの足でロシュ家を訪れ、一縷の望みをかけて力を貸して欲しいと頼んできた。
 次期当主のイーサンは辺境地を離れるわけにはいかなかったが、期限付きという条件でジゼルの護衛騎士になった。