姫様は好きが言えない〜オーク顔の呪いにかかっていますが好きな人がいます〜



「イーサン、ちょっとついてきて」
 彼の手を取った私は急いで大広間に戻る。
 私の呪いのせいで収拾がつかなくなったのか、まだこれからだというのに宴はお開きになろうとしていた。

「皆様にご報告があります」
 オーク顔だった私の顔が元に戻っているのを見て、周囲がまた困惑している。
 特に事情を知っている家族は私が元に戻っているので、目を白黒させていた。
 私は柔和な微笑みを浮かべると胸に手を当てて優雅にお辞儀をする。

「先ほどはお見苦しいところを見せてしまい、申し訳ございませんでした。ちょっとした余興のつもりが、失敗して皆様を失望させてしまったのです。お詫びに余興ではありませんが、この場を借りてある発表をします」
 私はイーサンに隣に来るよう目で合図を送る。
 イーサンは怪訝そうにしながらも私の隣に来てくれた。
 続いて、私は自分に注目が集まっていることを確認して口を開く。


「私、ジゼルは西の地を治めるロシュ辺境伯の息子、イーサンと結婚します」
 その発表に歓声がワッと沸き立った。
 たくさんの人から祝福の言葉が贈られる。

「まさか今夜発表しなくとも……」
 突然の結婚発表に目を見張るイーサンだったが、やがて頬を赤めてはにかんだ。

 嗚呼、照れてる姿も可愛い。好き。
 私はイーサンへ満面の笑みを向けた。
「周りにしっかり知らせておかないと。これからもよろしくね、イーサン」


 こうして王家の醜聞で終わるはずだった宴は、私の結婚という喜ばしい宴として無事に幕を閉じた。