姫様は好きが言えない〜オーク顔の呪いにかかっていますが好きな人がいます〜



「醜い顔でしょ」
「いいえ。ジゼル様の顔はいつも通り可愛らしいですよ」
「お世辞なんて言わなくていい。醜いものは醜い。それが事実よ」

 ムキになった私は彼の掴んでいる手を振り払おうとする。
 けれど、イーサンの掴んでいる手に力が籠もってできなかった。

「私は嘘は吐きません。呪いで醜い顔になってしまったとしても、私はジゼル様をお慕いしています」
「え?」

 聞き間違いかと思い私は顔を向ける。
 イーサンはそれが真実だというように、真剣な顔をしていた。
 それからフッと口元を緩める。

「私はジゼル様をお慕いしています。どうか触れることをお許しください」
 そう言って顔にそっと触れてくる。ゴツゴツとした手が私の頬を包む。
 彼の親指が顎を撫でると、その次に唇へとスライドして優しく押し当ててくる。
 艶めかしい行為は私の頭を真っ白にさせた。


「う、ううっ……」
「申し訳ございません。お嫌でしたか?」
 切なそうに眉尻を下げるイーサンが手を引っ込める。けれど、私はイーサンの手を両手で握り締めた。

「ううっ、イーサンが私に触ってるぅ。嫌な訳ないでしょ。嬉しいのよ!」
 我慢が限界を迎えたのか、瞳からぼろぼろと涙が流れていく。
 イーサンは困った顔をしつつも、空いている方の指の腹で私の涙を拭ってくれた。