姫様は好きが言えない〜オーク顔の呪いにかかっていますが好きな人がいます〜



「嗚呼、お待ちください。もっと話をしましょう。あなたはその女神のような美しさでこちらを魅了したのです。『好き』にさせた責任を取ってください」
「っ……」

 私の心臓が大きく跳ねる。
 ヘンリク殿下は私に好意と共に『好き』と言った。
 それが何を意味するかは一目瞭然で、ヘンリク殿下も周りも騒然とする。

「ジゼル様!」
 すかさずイーサンが私の顔を隠すようにマントで覆ってくれた。けれど、時既に遅し。

「美しかった顔が変わったぞ」「嗚呼、見るに堪えない」「まさに醜女のオーク顔だ!」

 周りはひそひそ声で私のオーク顔を話しているはずなのに、その声は嫌というほど私の耳に届いた。
 けれど、初対面の人になんと言われようと平気だ。

 一番の問題は、このオーク顔をイーサンに見られたこと。
 私の醜い顔を見て、どう思っただろう。

「失礼します」
 私は目深くマントを被ると、そのまま大広間から走り去った。
 そのまま離れまで走った私は、肩で息をしながら庭の池のほとりで膝をつく。