オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

鉛筆を持つと、さっきまで止まっていた線が、また動き出した。

私が描いている間、海原くんは、隣でのんびりと話し続けていた。

学校のこととか。
友達が今日また体育で怒られてたとか。
そんな、よくある日常の話。

残念ながら、共感できるような話題はひとつもなくて、途中で私は何度か聞いた。

「……約束、大丈夫なの?」

遊びに行く途中だと言っていたから。
でも海原くんは、気にした様子もなく笑う。

「大丈夫大丈夫。俺いなくても、あいつら楽しんでるから」

マイペースな物言いだった。

ただの、ときどき話すクラスメイトなのに。
その隣で絵を描く時間は、不思議と気まずさは感じない。

むしろ——なぜだか、とても落ち着いた。

鉛筆はするすると紙の上を走って、夕焼けの海が少しずつ形になっていく。

大体出来上がったとき、私は海原くんの方をちらりと見た。

楽しそうに話し続ける横顔。
その姿を見ながら、私はそっと鉛筆を動かす。

防波堤に座る、海原くんと、私。
描き終えて、絵日記を少し離して見る。

その瞬間、私は目を丸くした。

——あれ。

その絵は、転校してきてすぐに描いた、あのイラストにそっくりだった。

こんなにも同じ景色になるなんて……不思議。
呆然と眺めていると、隣から海原くんが身を乗り出す。

「おー!やっぱすげえな!」

突然目の前に現れた無邪気な笑顔に、私は思わず笑ってしまった。