オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

「おーい翼ー!」

やぐらの上から、聞き慣れた明るい声が響いた。

下で踊っていたはずの健太はいつの間にか、やぐらの上でお手本のように踊りを披露していた。

その下で、美咲も笑いながら手招きしている。

翼は「しょうがねえなあ」と呟いて、そのまま輪の中に走っていった。

みんなの笑い声が、提灯の下で弾ける。

楽しそうな三人の笑顔を順に眺めて、ぎゅっと胸が締めつけられた。

翼と、夏祭りに来られた。

それは、つまり——。

これまでとは非にならないくらい、大きく、過去を変えてしまったということ。

あの日の真っ赤に染まった海岸が脳裏に浮かび、私はもう一度楽しそうな三人の姿を目に焼き付けた。

もし、戻った世界に、翼がいたら。
私は、すべてを忘れてしまうのかな。

こんな三人と、素敵な友達でいられるのは、きっと、今日が最後。

そう思うと、胸の奥がぎゅっと苦しくなった。

見つめる視線の先が、ぼんやりと滲んでいく。

ずっと見ていたい景色を逃さないように、私は何度も目元を拭った。

「汐莉!汐莉も早くおいでよ!」
しばらくして、美咲の声が飛んでくる。

「汐莉!なにしてんだよー!!」
健太もやぐらの上から、手を振っている。

健太の隣に、翼の笑顔も見えた。

私は息を吐き出して、悲しい気持ちに蓋をする。

ずっとほしかった。

転校しても途切れてしまわないくらいの、大好きな友達がそこにいる。

そんな今がすごく幸せで、胸の奥が温かくなった。

「今行くよ!」

私は笑いながら、みんなのところへ走っていった。