オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

神社の鳥居をくぐると、ぱっと世界が明るくなった。

赤い提灯がずらりと並んで、夜の空にゆらゆら揺れている。

小さな町の小さなお盆祭り。
それでも、地域のみんなが一つの神社に集まるから、境内はたくさんの人で賑わっていた。

翼は鳥居をくぐった瞬間から、何度も呼び止められていた。

「おう翼!来たか!」
「翼ちゃん、いつもありがとうね」

屋台のおじさんや、近所のおばあちゃん。
すれ違う人たちが、次々と翼に声をかけていく。

「こんにちは!」
翼はそのたびに、明るく手を振ったり、頭を下げたりしていた。

その様子を後ろから見ながら、翼の服の裾を掴んだ。

「……人気者なんだよね、翼は」

ちょっとだけ肩身が狭くなって、そう言うと、翼は振り返って照れたように笑った。

「……何も見えてなかったんだな、俺」

困ったように眉を下げる翼と、顔を見合わせて笑う。

しばらく歩くと、屋台の前で手を振る二人の姿が見えた。

遅れた私たちを怒るかと思いきや、もぐもぐとイカ焼きを頬張る健太と美咲に笑ってしまう。

「んおお〜〜おほいじゃん!」
健太が口いっぱいにイカを詰めたまま叫んだ。

「はひしてはの〜〜」
美咲も同じように、もぐもぐしながら何かを言っている。

怒っているのかもしれないけれど、何を言っているのかわからないので、まったく迫力がない。

翼と目が合って、二人で同時に声に出して笑う。

さっきまでの出来事が、まるで遠い夢みたいに感じられていた。

——こんな時間が、ずっと続いたらいいのに。

ほんの少し、心の内に影が差す感覚を、私は考えないように閉じ込めた。