甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜

ドキドキしながら1週間を過ごし、ちょうど左京が年末休暇に入った12月29日に、桜子は左京と一緒に再び産婦人科を訪れた。

「おめでとうございます。心拍確認出来ましたよ」

わぁ……と内診台の上で桜子は声を詰まらせ、込み上げる涙を拭う。

(良かった。左京さんと私の大切な赤ちゃん、元気に大きくなってね)

お腹に手を当てて、祈るように語りかけた。

内診室から診察室に戻ると、左京が心配そうな面持ちで待ち構えていた。

どうだった?と目で尋ねる左京に、桜子は笑顔で頷く。

左京はホッとしたように肩の力を抜いて、桜子を優しく抱き寄せた。

「はあ……良かった。生きた心地がしなかった」
「あらあら、そんなに?」

女性のドクターが明るく笑って、エコー写真を机の上に置いた。

「ほら、これが赤ちゃんの袋よ。その中の小さな白い点が胎芽。チカチカと心臓が動いているのも確認出来ました。このまま順調にいけば、出産は8月の下旬になるわね」
「8月の下旬……」

一気に実感が湧いてくる。

「その頃に会えるのね、私たちの赤ちゃんに」
「ああ。もう楽しみで仕方ないよ。桜子、くれぐれも身体を大事にしてくれ」
「はい」

ではまた年明けに、と見送られて、二人は病院をあとにした。