甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜

ベッドサイドのデスクでパソコンに向かいながら、左京はふと桜子に目をやる。

これまで旅行中はスイートルームのリビングで仕事をしていた為、パソコンにも集中出来たが、今夜はどうしても視界の隅に桜子を捉えて意識してしまっていた。

無防備な桜子の寝顔をひと目見ると、もう目が離せなくなる。

左京は諦めたようにパソコンを閉じるとベッドに入り、桜子をそっと抱き寄せた。

「……ん」

甘い吐息をもらして、桜子が左京に身を寄せる。

額に優しくキスを落とすと、桜子は無意識に左京の胸元をキュッと握ってきた。

「桜子……」

切なさと愛おしさに胸が締めつけられ、己の身体の奥底からどうしようもない衝動が込み上げる。

(だめだ。今、こんな状況で桜子の全てを奪うのだけは)

大切に大切に、優しくこの手で花開かせたい。

桜子がずっと守ってきた純潔を、自分にだけ捧げてくれるのだから。

左京はグッと奥歯を噛みしめて、自分の胸元を握りしめている桜子のきれいな手を解くと、左手の薬指にそっと口づけてから目を閉じた。