ホテルに戻ると、左京と桜子が泊まっているスイートルームのリビングに皆で集まり、ミーティングを兼ねてルームサービスで昼食を食べることにした。
「門倉さん、コーヒーをどうぞ」
「ありがとうございます、奥様」
桜子は笑顔で皆にコーヒーを配り、料理を取り分ける。
リラックスした雰囲気で食事をしながら、旅館について意見を出し合った。
「ここアスペンと、もう1か所ワシントン州のアッシュフォードにも飛んで視察し、同時に2か所で旅館の開業を目指す。どちらも雪と桜がテーマだが、どちらかと言うとアスペンは雪、アッシュフォードは桜をメインテーマにしたい。旅館の名前はどうする?」
うーん、と皆で考えこむ。
スノー、マウンテン、ネイチャーなどのキーワードや、ホテル・タチバナなど、英語で色々な名前を出し合ってみるが、これと言って決め手がなかった。
「奥様はどう思われますか?」
「えっ、わたくしですか?」
門倉に話を振られて、桜子はしばし考えを巡らせる。
「参考にはならないかもしれませんが……」
そう言って左京の様子をうかがうと、左京は桜子に優しく微笑んでから頷いてみせた。
力をもらい、桜子は口を開く。
「では、敢えて『旅館』という日本語を使ってみてはいかがでしょう?」
「旅館、という言葉をそのまま、ですか?」
「はい。ホテルとは違う、日本ならではのおもてなしが感じられる旅館は、英語では言い表せません。逆に『旅館』という言葉を、橘が世界に広めていく、その気持ちで敢えて」
なるほど……と言ったきり、門倉は黙り込む。
他の社員も難しい表情を浮かべる中、左京だけは、ふっと笑みを浮かべた。
「いいな、それ。まさにその通りだ。日本のおもてなしの精神を誇りに、旅館を世界へと広めていく。我々がアメリカに純和風の旅館を造ろうとしているのは、その想いがあるからだ。それを忘れない為にも」
じっと耳を傾けてから、門倉が頷く。
「……確かにそうですね。旅館は『旅館』という名前でしか語れない唯一無二のもの。それを我々社員が忘れない為にも。世界に旅館の良さを伝えるという野望の為にも」
ああ、そうだな、と他の社員も互いに顔を見合わせた。
そしてアスペンの旅館の名前は
【Shirayuki Ryokanー白雪旅館ー】
アッシュフォードの旅館は
【Sakura Ryokanー桜旅館ー】と決まった。
「門倉さん、コーヒーをどうぞ」
「ありがとうございます、奥様」
桜子は笑顔で皆にコーヒーを配り、料理を取り分ける。
リラックスした雰囲気で食事をしながら、旅館について意見を出し合った。
「ここアスペンと、もう1か所ワシントン州のアッシュフォードにも飛んで視察し、同時に2か所で旅館の開業を目指す。どちらも雪と桜がテーマだが、どちらかと言うとアスペンは雪、アッシュフォードは桜をメインテーマにしたい。旅館の名前はどうする?」
うーん、と皆で考えこむ。
スノー、マウンテン、ネイチャーなどのキーワードや、ホテル・タチバナなど、英語で色々な名前を出し合ってみるが、これと言って決め手がなかった。
「奥様はどう思われますか?」
「えっ、わたくしですか?」
門倉に話を振られて、桜子はしばし考えを巡らせる。
「参考にはならないかもしれませんが……」
そう言って左京の様子をうかがうと、左京は桜子に優しく微笑んでから頷いてみせた。
力をもらい、桜子は口を開く。
「では、敢えて『旅館』という日本語を使ってみてはいかがでしょう?」
「旅館、という言葉をそのまま、ですか?」
「はい。ホテルとは違う、日本ならではのおもてなしが感じられる旅館は、英語では言い表せません。逆に『旅館』という言葉を、橘が世界に広めていく、その気持ちで敢えて」
なるほど……と言ったきり、門倉は黙り込む。
他の社員も難しい表情を浮かべる中、左京だけは、ふっと笑みを浮かべた。
「いいな、それ。まさにその通りだ。日本のおもてなしの精神を誇りに、旅館を世界へと広めていく。我々がアメリカに純和風の旅館を造ろうとしているのは、その想いがあるからだ。それを忘れない為にも」
じっと耳を傾けてから、門倉が頷く。
「……確かにそうですね。旅館は『旅館』という名前でしか語れない唯一無二のもの。それを我々社員が忘れない為にも。世界に旅館の良さを伝えるという野望の為にも」
ああ、そうだな、と他の社員も互いに顔を見合わせた。
そしてアスペンの旅館の名前は
【Shirayuki Ryokanー白雪旅館ー】
アッシュフォードの旅館は
【Sakura Ryokanー桜旅館ー】と決まった。



