甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜

「なんて気持ちがいいの。どこまでも海が続いてて、太陽の光でキラキラしてて。ヤシの木も高いし、もう地球が大きくなった感じ」

桜子の言葉に、左京は思わず笑い出す。

「そんなに?」
「うん。もしくは、私が小さくなっちゃったとか?」
「まるでガリバー旅行記だな」
「ほんとね。左京さん、上を見て。空も広いの」
「ああ、うん。でも俺が上を見たら危ない」
「あ、そうか! ごめんなさい」

生き生きとした桜子の表情は、くるくる変わる。

左京は、仕事で何度も訪れているこの場所が、まるで別の楽園のように感じた。

(旅行って、誰と一緒に行くかでこんなにも違ってくるのか。高級なホテルやレストランよりも、桜子と過ごすこの時間がなによりも価値がある)

きっと人生だってそう。

桜子と一緒にいれば、何気ない日常も輝きに溢れている。

桜子が教えてくれるから。
世界はこんなにも素晴らしいと。

(桜子、ずっとそばにいてほしい。この先の人生も、ずっと)

言葉に出来ない気持ちを込めて、左京は桜子に優しく微笑んだ。