渡米の日がやって来た。
マンションに迎えに来た戸部は、部屋までスーツケースを取りに現れる。
「戸部さん、ありがとうございます」
「どういたしまして。奥様、楽しんで来てくださいね」
「はい!」
目を輝かせる桜子に、戸部もにこやかに笑いかけた。
「お幸せですね、奥様。アメリカではナンパされないように気をつけてくださいね」
「分かりました。戸部さん、お土産たくさん買ってきますね。なにがいいですか?」
「奥様がご無事なら、それだけで」
「まあ、そんなことおっしゃらず」
微笑み合う二人に、もう限界だとばかりに左京が割って入った。
「戸部、飛行機に乗り遅れる」
「それはいけません。奥様、まいりましょう」
「おい、戸部。俺はどうした?」
「常務もどうぞ」
「なんだその扱いは!?」
言い合いながら車に乗り込む。
羽田空港に着くと、戸部は二人分のスーツケースをカートに載せて、ファーストクラスのチェックインカウンターに向かった。
えっ!と桜子が驚いて、左京を見上げる。
「左京さんはファーストクラスなのね。私とは離れ離れ?」
「は? まさか。桜子も一緒だ」
「私がファーストクラスに? そんな……、乗ってもいいのですか?」
「もちろん」
「どうしよう、こんな服装なのに」
そう言って桜子は、不安そうに自分の格好を見下ろした。
真っ白なロングコートの中は、濃紺のワンピースにショートブーツを合わせ、髪は毛先を緩く巻いたローポニーテール。
他の乗客を見ると、スーツ姿のビジネスマンが多かった。
「私、浮いてますよね。断られたりしませんか?」
「大丈夫だ。可愛すぎるのが心配だが」
「やっぱりそうですよね。きちんとしたビジネススーツじゃないと」
「いや、そういう意味じゃない」
すると戸部が、にこにこしながら桜子に説明する。
「奥様。常務は奥様が可愛いすぎて、他の男性に奪われないかと心配していらっしゃいます」
「戸部! なにを言っている!?」
「そしてこれは、照れ隠しです」
「戸部!」
「それでは、お気をつけて行ってらっしゃいませ。すてきなハネムーンを」
満面の笑みで手を振る戸部に、桜子も「行ってきます」と笑顔で応えた。
マンションに迎えに来た戸部は、部屋までスーツケースを取りに現れる。
「戸部さん、ありがとうございます」
「どういたしまして。奥様、楽しんで来てくださいね」
「はい!」
目を輝かせる桜子に、戸部もにこやかに笑いかけた。
「お幸せですね、奥様。アメリカではナンパされないように気をつけてくださいね」
「分かりました。戸部さん、お土産たくさん買ってきますね。なにがいいですか?」
「奥様がご無事なら、それだけで」
「まあ、そんなことおっしゃらず」
微笑み合う二人に、もう限界だとばかりに左京が割って入った。
「戸部、飛行機に乗り遅れる」
「それはいけません。奥様、まいりましょう」
「おい、戸部。俺はどうした?」
「常務もどうぞ」
「なんだその扱いは!?」
言い合いながら車に乗り込む。
羽田空港に着くと、戸部は二人分のスーツケースをカートに載せて、ファーストクラスのチェックインカウンターに向かった。
えっ!と桜子が驚いて、左京を見上げる。
「左京さんはファーストクラスなのね。私とは離れ離れ?」
「は? まさか。桜子も一緒だ」
「私がファーストクラスに? そんな……、乗ってもいいのですか?」
「もちろん」
「どうしよう、こんな服装なのに」
そう言って桜子は、不安そうに自分の格好を見下ろした。
真っ白なロングコートの中は、濃紺のワンピースにショートブーツを合わせ、髪は毛先を緩く巻いたローポニーテール。
他の乗客を見ると、スーツ姿のビジネスマンが多かった。
「私、浮いてますよね。断られたりしませんか?」
「大丈夫だ。可愛すぎるのが心配だが」
「やっぱりそうですよね。きちんとしたビジネススーツじゃないと」
「いや、そういう意味じゃない」
すると戸部が、にこにこしながら桜子に説明する。
「奥様。常務は奥様が可愛いすぎて、他の男性に奪われないかと心配していらっしゃいます」
「戸部! なにを言っている!?」
「そしてこれは、照れ隠しです」
「戸部!」
「それでは、お気をつけて行ってらっしゃいませ。すてきなハネムーンを」
満面の笑みで手を振る戸部に、桜子も「行ってきます」と笑顔で応えた。



