甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜

「ああ、どうしよう。ドキドキする」

左京を見送ったあと、いつものように家事をしながら、桜子はソワソワと落ち着かない。

「パーティーなんて初めてだし、その上左京さんのお仕事関係だなんて。粗相があってはいけないわ。私のせいで左京さんが悪く思われるようなことだけは」

考えれば考えるほど、桜子は自分を追い込んでいく。

「そもそも私って、左京さんの隣に並んでいい顔じゃないわよね? もっとこう、華やかで目鼻立ちの整ったモデルさんや芸能人みたいな人がふさわしいし、皆さんもそう思っていらっしゃるはず。そこにこの、和風の童顔の私が現れたら? いやー、無理!」

思わずソファでクッションを抱えて顔を伏せたが、今更どうしようもない。
これも大切な妻の役目として、覚悟を決めたはず。

「左京さんのことだもの。本当はもっと前から私を連れて来るようにと言われていたのに、私を気遣って断っていたんだわ。ようやく話してくれたんだから、私もきちんとお応えしなくては」

よし、と自分に気合いを入れる。
そうこうしているうちに、15時が近づいてきた。

(えっと、服もバッグも靴もブティックで貸していただけるから、ハンカチやリップだけ持てばいいのかしら?)

メイクもしてもらえるとは言え、スッピンで行くのもはばかられ、軽く整えてから着替えやすいワンピースを着て行くことにした。

緊張がマックスになった時、ピンポンとインターフォンが鳴って、桜子はドキッとする。

「はい」
『奥様、戸部です。お迎えに上がりました』
「ありがとうございます。すぐにまいりますね」

いよいよだと深呼吸してから、桜子は玄関を出た。