甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜

「パーティー、ですか? それは左京さんのお仕事関係の?」

食後のコーヒーを飲みながら切り出すと、桜子は戸惑うように聞き返してきた。

「そう。橘ホールディングスは、海外にもホテルを展開しているから、パーティーによく誘われるんだ。外国人はそういう集まりが好きで、毎月のように顔を合わせている。皆、パートナー同伴でね。俺が結婚したと知って、君を紹介してくれと周りから言われていたんだ。でも無理にとは言わない。君からすれば知らない人ばかりで、楽しめるものではないかもしれないから」

それに、と左京は言葉を止めてから、桜子を真っ直ぐ見つめる。

「結婚する時に、パーティーへの同行はお願いしていなかった。だから君には断る権利がある」

すると桜子は、じっと左京と視線を合わせてから、にっこり微笑んだ。

「私でお役に立てるのなら、喜んで同行します」
「えっ、いいのか?」
「はい。逆に私で大丈夫でしょうか? 左京さんの評価を落とすことになったらと、それが心配です」
「とんでもない。君は俺のれっきとした妻なのだから」

うつむいた桜子の頬が、ほんのりと色づく。

「では、あの、かしこまりました。パーティーの作法とか、服装などをご教授いただけますか?」
「そんなものは気にしなくていい。外国人の若者がメインの、気軽な立食パーティーだから。服は俺の行きつけのブティックで用意してもらおう。パーティーでは、俺のそばにいてくれるだけでいい」
「はい、分かりました。ちょっと緊張しますが、お料理も食べられるのですよね?」

左京は笑って頷く。

「ああ。好きなものを好きなだけ食べられるよ。デザートもたくさんあるから」
「わぁ、楽しみです」

目を輝かせる桜子に、左京も二人で行くパーティーが楽しみになった。