甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜

「ただいま」
「お帰りなさい」

玄関のドアを開けると、桜子が笑顔で出迎えに現れた。

「メッセージをありがとうございました。おかげで揚げたてをご用意出来ましたので、どうぞ」
「ありがとう」

左京は部屋に鞄を置いてジャケットを脱ぐと、手を洗ってからいそいそとダイニングに向かう。

テーブルには、和食器に美しく盛り付けられた天ぷらや揚げだし豆腐、冷たいそうめんも並べられていた。

ビールを注いでもらうと、早速「いただきます」と手を合わせる。

「うん、美味しい」

サクッと歯切れの良い天ぷらは油っこくなく、素材の味も感じられて、いくらでも食べられた。

「岩塩や柚子こしょう、和風だしや麺つゆもありますので、味を変えて召し上がってくださいね」

桜子は小皿を次々と左京の前に並べる。

「ありがとう」

桜子が作ってくれた料理を自宅で味わえることが、なによりも贅沢だと、左京は感じていた。