甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜

カフェを出ると、左京は洋服や雑貨のお店が並ぶモールの方に目をやり、桜子に「見なくていいのか?」と尋ねる。

「はい、大丈夫です」
「そうか」

遠慮しているのでなければいいが、と思いつつ、左京はふと有名なパティスリーの前で立ち止まった。

「お姉さんと姪っ子さん、クッキーは好きか?」
「え?」

なんのことかとばかりに、桜子は首をかしげる。

「今度遊びに来た時に、一緒に食べるといい」

そう言って左京は、綺麗な模様のクッキー缶を手にした。
日持ちすることを確認してから、レジへと向かう。
ようやく桜子は我に返ったようにあとを追った。

「あの、ありがとうございます、左京さん」
「これくらい当然だ。紅茶も買っておくか。種類はなにがいい?」
「では左京さんがお好きなものを」
「俺は詳しくないんだ。君が選んでほしい」
「分かりました。それなら、この小さな3つの缶のセットでもいいでしょうか。 ダージリンとアッサムとアールグレイ。味比べしてみませんか?」
「いいな。多分俺はなにも違いが分からない」

真剣に答えると、桜子はふふっと笑ってから、ちょっと得意気に澄まして言う。

「私は香りだけで当ててみせますよ」
「おっ、言ったな?」
「はい、言いました」
「よし、勝負だ。楽しみだな」
「ふふふ、はい」

左京は、意気揚々と紅茶のセットも手にして会計を済ませた。