甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜

「いやー、もう、極楽極楽」

ゲストは10組限定で、さほど忙しさに追われず、桜子たちは左京が用意してくれた客室に戻った。

部屋の露天風呂に浸かり、紅葉も母も至福の表情を浮かべる。

「こんなすてきな旅館ってある? 雪景色はきれいだし、離れみたいに静かで落ち着くし、お部屋は畳で子どもたちものびのび。庭園では雪遊び出来るし、身体が冷えたらいつでもお風呂に入れるし。はあ、もう、最高! ずっとここに住みたーい」

紅葉が声高にそう言うと、母も「私も住みたーい!」と真似る。

「ももかもー!」
「あはは! 桃香、パパはどうするの?」
「パパもここにすむのー」
「あら、そしたらおじいちゃんは?」
「おじいちゃんもー」
「あーらら、『しらゆき』が閉店ガラガラ」

皆で笑いながら、贅沢なお風呂のひとときを楽しんだ。