裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

 私が最後に見た母は、赤ちゃんを抱えた鈴木さんにアイスピックで襲いかかろうとした母だ。

「ありがとうございます。どうぞ、入ってください」

 母も言ってくれなかった「お誕生日おめでとう」を鈴木さんが言ってくれたからだろうか。
 私は鈴木さんのことは、やはり嫌いになれない気がした。

「お邪魔しています。アオちゃんの友達の川田舞と申します。もしかして、鈴木さんも栃木出身だったりします? 違ってたらすみません。同郷の人だったら、嬉しいなと思ってしまって」

 鈴木さんは確かに特有の訛りのある話し方をする。
 舞ちゃんの東京弁は完璧だから、彼女がはるばる栃木から来たとは私は思っていなかった。